糖尿病患者・家族に対するQOLアンケート結果を発表:サノフィ

■健康日本21推進フォーラム/サノフィ株式会社:糖尿病患者・家族に対するアンケート結果を発表

健康日本21推進フォーラムとサノフィ株式会社は「糖尿病に関するQOL調査」を行い、結果を8月19日に発表した。この調査はII型糖尿病患者550人とその家族450人を対象にインターネットを使って行われたもので、糖尿病患者の実態や発症後の生活の変化、患者を支える家族の負担の実情、インスリン投与に対する思いなどが明らかにされた。

糖尿病と診断されて「ストレスを感じる」と答えた人は患者本人で55.1%、「生活満足度が減った」という回答は51.3%にも上り、多くの患者が糖尿病によってQOL低下を感じている。これが、合併症発症で「精神的負担」は71.1%に増大している。
糖尿病の治療は家族の負担が大きく、食事面を中心に88.9%が治療を支援していますが、43.6%がストレスを感じています。金銭的な負担もさることながら、合併症を併発することによる精神的な負担はさらに大きなものと なり、家族の悩みや不安も深刻化し、家族間のコミュニケーションにも大きな影響をおよぼすことになりがちとしている。

また、糖尿病は血管の障害によりさまざまな合併症を引き起こすが、今回の調査でも全体の2割が合併症を「併発」(20.0%)している。併発した合併症は、

①視力低下や失明などの「糖尿病網膜症」(60.0%)
②しびれや麻痺・発汗異常などの感覚・自律神経障害の「糖尿病神経障害」(40.9%)
③狭心症・心筋梗塞などの「虚血性心疾患」(20.9%)
④人工透析が必要な状態の腎不全や尿毒症の「糖尿病腎症」(16.4%)の順となっている。

■調査をふりかえって:東京医科大学内科学第三講座主任教授・小田原雅人氏

ーモチベーションの維持が課題ー
「糖尿病は自覚症状に乏しく、治療には生活に多くの制限をかけなければならないため、長期に治療のモチベーションを維持していくのが大変な病気である。治療中断経験者が4人に1人もいたのは、その表れであろう」
(出典:サノフィ株式会社ホームページ アンケート調査結果 http://www.sanofi.co.jp/l/jp/ja/index.jsp)

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■QOLとは(糖尿病QOL調査)

QOL(クオリティ・オブ・ライフ:quality of life)とはどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているかを意味し、「個人の収入や財産などを基に算出される生活水準(standard of living)」と分けて考えられています。
糖尿病患者においては、治療の長期化・合併症の進行(網膜症ー失明、腎症ー透析など)という側面もあり、たんなる血糖値のコントロールだけで生活の質が伴っていなければ、忍耐を強いるだけのつらい毎日となってしまいます。
そのために、良好なQOLを維持するための具体的評価方法として、「糖尿病QOL調査票」などが利用され、これらの調査結果をもとにして、療養生活のモチベーション維持や生活改善にいかされています。
具体的には、一人で歩くことができるか、くよくよ悩んでいることがあるか、 人付き合いがおっくうになっていないかなどといった質問に答えてもらう方法がとられいます。現在では、スマートホン・アプリとしてダウンロードできるものもできています。糖尿病を発症していて血糖が高くても、患者本人は痛くもかゆくもないので、QOL評価には現れにくい側面もありますので、家族への調査を含めるなど、糖尿病QOL調査票には工夫がこらされているところです。
治療の進歩により長生きができるようになりました、長い闘病生活のストレスから精神的にイライラする・人付き合いが悪くなるなどをふ予防し、快適な社会生活を送るためにも直接的な医療行為のみだけではなく、このような支援がもっと必要になってくると思います。

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