合成甘味料は血糖値を下がりにくくする

スクラロースやアスパルテームなどの非糖質系合成甘味料には、代謝に関わる腸内細菌のバランスを崩して血糖値が下がりにくい状態にする作用があるという研究結果がでました。

イスラエルの研究チームが英科学誌ネイチャー電子版に、「お菓子や清涼飲料などに広く使われている人工甘味料(サッカリン・スクラロース・アステルパームなど)には、代謝に関わる腸内細菌のバランスを崩して血糖値が下がりにくい状態にする作用がある」と発表した。
このなかで、虫歯予防やカロリー摂取量を抑えるのに役立つ一方で、糖尿病や肥満といった生活習慣病のリスクが高まる可能性を指摘している。チームの研究者は「大量に使われている人工甘味料の影響について再評価する必要がある」と警告している。

(従来から、糖質削減対策としてゼロカロリーの清涼飲料水を選んでも、そこに含まれる人工甘味料の働きで、逆に甘い物への依存を高めることがあり、それなら、甘いものを食べておいたほうが、結果的に量を多く摂らずにすむとも言われていました。ダイエットをしている人が人工甘味料を摂取すると、さらにカロリーを摂取したくなる。人工甘味料への依存が、おそらく甘さや糖分への欲求を引き起こし、それが結果的に肥満や偏った食事につながる。ダイエット系炭酸飲料に入っている人工甘味料に脳が反応してインスリンが分泌され、それが空腹感を高め、特に甘いものへの欲求を高める可能性があると考えられています)

このイスラエルの研究チームは約380人を対象とした調査で、人工甘味料を多く摂取する人は摂取しない人に比べ、体重や腹囲の増加に加え、血糖値や糖尿病に関係する血液指標の上昇がみられるのを確認。少人数のグループやマウス実験で詳しく調べると、摂取量が多いと消化や代謝に関わるさまざまな腸内細菌のバランスが変化し、血糖値が下がりにくい糖尿病と似た状態になることが分かったとしている。

この研究結果と異なる別の見解に基づいて、2型糖尿病患者や、血糖値の上昇を伴う「耐糖能障害」と呼ばれる糖尿病の前段階に当たる状態の患者に対して、人工甘味料を推奨している専門家がいますが、このように人工甘味料の医学的な研究においては、「減量に役立つのか妨げになるのか」、あるいは「糖尿病や肥満のリスクはどうか」、まだ明解な結論が出ているわけではありません。ですが、カロリー0だからと言って多量に摂取するのは要注意ということなのでしょう。
また、この研究では人工甘味料の摂取により腸内細菌のバランス変化がおこり、血糖値の上昇を招くという段階を踏むことが判明した。肥満やメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を引き起こす大きな環境要因の一つとして、腸内細菌の集まりである腸内細菌叢(そう)が関係していることが、ゲノム(全遺伝情報)解析が進んだことで明らかになってきている(腸内には約1千種、総重量で1キロの細菌が存在し、共生していて。それらの共生関係が崩れると、肥満・メタボといった代謝性疾患やアレルギーなどの免疫疾患につながる)が、この研究と合わせて興味深い結果と考えられます。

では理想的な腸内細菌叢を-どうすれば形成・維持できるのか。今後の研究に期待するしかありません。ヨーグルトと納豆を毎日食べるといった簡単なことではないようですが、腸内細菌のバランスにも気を使った生活をする必要がありそうです。

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