糖尿病セルフチェック

もしかしたら糖尿病になっちゃったかも?、会社の定期健康診断で血糖値が高いと言われたので不安だ・・・という場合の自覚症状から見た、糖尿病セルフチェックの項目をまとめてみました。

糖尿病の診断に用いられる主な数値
・空腹時血糖値:126mg/dl以上
・HbA1cが6.5%以上
・75gOGTT(ブドウ糖負荷試験)2時間値:200mg/dl以上
・食後に関係なく測定する随時血糖値:200mg/dl以上
(日本糖尿病学会「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」より抜粋)

人間ドッグの空腹時血糖値基準範囲は99㎎/dL以下、100-125㎎/dLで要注意となります、血糖値が126mg未満だから自分は大丈夫と安心しがちですが、日常では高血糖状態が続いている場合があります。 糖尿病になっているのかどうか、合併症による兆候(予兆)から自分でチェックしてみましょう。
気づかないうちに重度の糖尿病に進行してしまう・・・そんな事のないように、手軽に自己管理でできる糖尿病診断(セルフチェック)です。

糖尿病の合併症

症状からみた糖尿病の自己診断(セルフチェック)

■自覚症状一覧(こんな症状はありますか?)

1.とても喉が渇き、水をよく飲むようになった / 唾液がでにくくて、口の中が粘る・乾く

2.おしっこの回数が増えて、量も多い / 夜間頻繁にトイレにいく / おしっこが出にくく、残尿感がある

3.陰部がかゆい、あかむけてきた / 水虫がひどい / 発疹がないのに身体がかゆい、肌がかさつく

4.口が臭いと言われた / 歯周病で歯がぐらぐらする / 歯槽膿漏で歯茎から血がでる

5.こむらがえりを起こす、ふくらはぎがつる / 階段を上がるのがつらい、

6.太っていたのに急にやせてきた / 食欲がありすぎていくらでも食べられる / 甘いものが急にほしくなる

7.手足の先がしびれたり、ピリピリした感じがする / 手袋をはめているような感覚がする

8.目がかすんで見えにくい / 眼鏡をかけてもよく見えなくなってきた

9.身体がだるく疲れやすい、気力がわかない / 立ちくらみがする

10.軽いやけどや、ちょっとした擦り傷、靴ずれの痛みをあまり感じない / 傷の治りが遅い

11.平地でもつまづきやすい

12.下痢と便秘をくり返す

13.食後、非常に眠くなる

14.性欲が衰えてきた

複数項目に自覚症状がある方、とくに1.2.項に該当する場合は、糖尿病がかなり進行している可能性があります。すぐに医療機関へ行き、検診を受けてください。何科にかかればよいのか迷ったら内科です、大病院では内分泌代謝内科・糖尿病内分泌代謝科などと表示されています。糖尿病・生活習慣病の専門の医院も増えてきました。
また、糖尿病は血糖値が高くても無症状の事が多く、上記の症状はむしろ糖尿病のかなり進んだ時期にみられます。該当症状がなくても定期健診をしっかり受けておきましょう。

■自覚症状解説

1.2.5.9.13.項:
血液中の高濃度の糖分が排出される過程で大量の水分が失われます。そのため脱水症状で、たちくらみ、倦怠感、脱力感などを起こします。また、血液中の塩分・ミネラルが水分とともに奪われ、濃度が低くなったために筋肉が痙攣することで、こむらがえりやふくらはぎがつったりします。ちゃびんの場合は、夜中のこむらがえりがミネラル不足だと思いスポーツ飲料を飲みすぎて糖尿病を悪化させていたようです。
抹消神経障害から、膀胱に尿がたまっても尿意を感じない、たまった尿のせいで下腹部がふくらむ(糖尿病性無力性膀胱)、もらしてしまったり(失禁)、残尿感があるなども症状として現れることがあります。
尿中に糖分が出ている場合は、尿が泡立ちます。(血糖値が170mg/dL前後を超えたあたりから尿糖が出るようになります)飛び散った尿で便器や周辺がべたべたし、それが乾燥すると白い飛沫になります。ズボンの裾や靴に白い粉状の飛び散りが見られたら糖が出ている証拠です。(血糖値は正常レベルにあるのに尿糖が排泄される「じん性糖尿」という状態もありますが、これは糖尿病ではありません)
このような自覚があるような状態では、1日に2リットル以上の尿が排泄されます。そのため頻繁にトイレに行き、失われた水分を取り戻そうとして、異常にのどが渇き、大量に水を飲まなければならなくなるのです。この状態ならただちに医師の診断を受けたほうがよいでしょう。

3.4.10.項:
糖尿病など慢性病になっている方は、体の免疫力が低下し抵抗力が弱っているので、細菌が侵入しやすい体質になってしまいます。水虫をはじめ細菌を退治するのは、通常の健康体にときよりも大変で、治りづらくなり、時間もかかります。また、表皮でカンジダ菌やカビが繁殖しやすくなっていきます。そのために、かゆみが止まらなくなったり、湿疹やおでき、あせも、水虫などできやすくなったりします。また、体の治癒力が弱まっているので、ちょっとした傷から細菌が感染しやすくなり治りにくくなり危険な状況にあることもあります。陰部にカンジダ菌が繁殖し、がまんできないかゆみに襲われ、かき壊して大変な思いをされた方も多いようです。

抹消神経障害で痛みに鈍感になっていると、傷に気づかず、そこから細菌が入り込みます。細菌に感染してしまうと、動脈硬化で血管が細くなっているので血液の流れも悪く、なかなか治りません。口腔内でも同様で、糖尿病と歯周病はセットとでもいえるような関係です、歯周病は糖尿病の合併症のひとつと考えるべきでしょう。歯周炎があると血糖コントロールが難しくなって、更に糖尿病を進行させる悪化スパイラルに陥ることも分ってきました。

糖尿病→からだを守る機能の低下・結合組織コラーゲン代謝異常・血管壁の脆弱化・傷が治りにくくなる→歯周病悪化→歯周病関連細菌から出される内毒素が歯肉から血管内に入り込む→腫瘍壊死因子【TNF-α: サイトカインの一種】の生産を促進→インスリン抵抗性の増大→糖尿病悪化→(悪化スパイラル)

また、インフルエンザウイルスに対する糖尿病マウスの実験では,体内に侵入する微生物や体内の腫瘍細胞を排除する役目のうち、浸出マクロファージ(炎症などによって動員される単球由来のもの)の動員の低下があるのではないかとする研究報告があります。糖尿病により、体内に侵入する微生物や体内の腫瘍細胞を排除する働きが低下すると風邪をひきやすくなったり感染症が治りにくくなっていると考えられます。

5.7.11.12項
軽い運動でふくらはぎがつる、平地でもつまずくといった症状は、いずれも末梢神経障害が理由で、下肢の末梢神経が鈍ってきたために起こるものです。また、通常の感覚のほかに、熱さ、痛みなどに対する感覚も非常に鈍ってきます。また、腸を支配する自律神経に障害が起こると、腸の運動が弱くなり、便秘や下痢を繰り返すようになります。さらに、自律神経の障害では、食事中や夜間就寝時に異常に汗をかいたり、胸や背中などの体の一部分だけに汗をかいたりもします。

6.項
糖尿病では、糖の正常な代謝ができず、エネルギー源として脂肪を使うようになりますので、大幅にやせてくることが多いのが特徴です。食べても食べても、どんどんやせて、1~2ヶ月で10キロも減ることもあります。糖尿病が進行し、頻繁に肝臓がケトン体をつくるようになると(糖尿病性ケトアシドーシス)、体臭はリンゴの腐ったような甘酸っぱい臭いがします。また口臭もケトン臭と歯周病により強くなります。

8.項
高血糖や低血糖になると光の屈折率が変化して目がかすみます。治療により血糖値が下がる時期にも目がかすむことがありますが、網膜に異常がなければ、これは一時的でそのうちに改善されます。また、ドライアイになって角膜が傷ついたり、涙目になったりします。炎症を起こしやすいのでコンタクトレンズは注意が必要です。糖尿病合併症である糖尿性網膜症(眼底出血)は成人の失明原因の1位を占めています。また、一度落ちた視力は糖尿病そのものが改善されても戻らないことが多いので早期発見が何より大事といえます。

自分でできる尿糖チェクと検査キットは、次のページへ

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